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DIGESTIVE_ORGANS 消化器・泌尿器科

肝臓・胆嚢の病気

肝臓は生命に欠くことのできない臓器で、100以上の重要な機能を引き受けています。たとえば、毒物や薬物の解毒・脂肪の代謝・炭水化物の貯蔵・胆汁や血漿蛋白や他の物質の産生、血液の凝固などに関与しています。また、胆嚢は肝臓に密接し、肝臓で産生された胆汁を貯蔵し、必要な時に消化管内に排出する役割があります。
肝臓・胆嚢の検査には血液検査や超音波検査、生検などを行います。血液検査では血液中の肝酵素(GPT、GOT、ALP、GGTなど)やALB、NH3、TBA、T-BILなどを測定し、肝障害の程度や肝臓の機能性を評価します。また、超音波検査では肝臓や胆嚢の形や腫瘤(できもの)などの評価を行います。
代表的な病気には以下のようなものがあります。

肝炎

犬猫では感染(ウイルス、細菌)や中毒によって起きる急性肝炎や、自己免疫性や遺伝性に発生する慢性肝炎などがあります。症状は元気食欲の低下や嘔吐、下痢、黄疸、腹水など様々です。また、炎症が長期化すると肝繊維症や肝硬変といった病態に進行し、肝不全(肝臓の機能が著しく低下した状態)となることもあります。肝炎の初期は無症状であることも多いため、定期的な検診が早期発見のために重要です。

治療

点滴や投薬などが必要です。肝炎の原因によって治療薬が異なります。

腫瘍

肝臓には肝細胞癌や血管肉腫、リンパ腫などが発生することがあります。いずれも初期は無症状であるため、腫瘍が大きくなってから発見されるケースが多いです。早期発見には定期的な検診が重要です。また、他の臓器で発生した腫瘍が肝臓に転移することもあるため、肝臓に腫瘍を認める場合は、全身のスクリーニング検査が必要です。

治療

外科的切除や抗がん剤などがあります。

胆嚢粘液嚢腫

小型犬に比較的多い胆嚢疾患で、胆汁を貯蔵している胆嚢内がゼリー状に固まってしまい、胆嚢本来の機能を失ってしまう病気です。原因ははっきりしておらず、脂質代謝異常やホルモン疾患などの関連が疑われています。初期は無症状であることが多いですが、進行すると胆嚢破裂や総胆管閉塞を引き起こし、急性に元気食欲低下や、嘔吐、下痢、黄疸が現れ、緊急手術が必要になることがあります。

治療

胆嚢摘出術が必要になることがあります。

胆嚢炎

犬猫では感染性の胆嚢炎がしばしばみられます。胆嚢は総胆管を介して十二指腸と繋がっています。そのため、十二指腸内の細菌が何らかの理由で胆嚢内に移行してしまうことがあり、胆嚢に感染と炎症を引き起こします。症状は元気食欲低下、黄疸、発熱、嘔吐、下痢など様々です。時に無症状であったり、間欠的に症状が出ることもあるため、注意が必要です。

治療

抗生剤による内科治療や外科的摘出があります。

胃腸疾患

胃腸疾患の症状は主に下痢、嘔吐、食欲不振、体重減少などです。原因には様々なものが関与しており、検査によって特定されます。以下に代表的な胃腸疾患を挙げます。

胃腸炎

犬猫でもっとも多い胃腸疾患です。下痢や嘔吐、食欲不振を引き起こします。原因には感染性(細菌、ウイルス、寄生虫)やストレス性、アレルギー性、自己免疫性など多岐にわたります。診断には糞便検査や血液検査、超音波検査、内視鏡生検を用います。

異物・誤食

犬猫は食べ物以外の物(おもちゃ、紐、プラスチック、金属片など)を食べてしまうことがあります。それらは時に消化管の中で停滞したり、閉塞を引き起こします。その結果、強い嘔吐や食欲不振を引き起こします。診断にはレントゲン検査や血液検査、超音波検査を用います。消化管閉塞を引き起こしている場合は緊急の開腹手術や内視鏡での摘出が必要になります。

中毒

人にとっては普通の食べ物であっても、犬猫のとっては毒になるものがあります。代表的なものにチョコレート、ねぎ、キシリトールガム、ぶどうが挙げられます。また、ユリなどの観葉植物も中毒を引き起こします。中毒症状は摂取日〜数日後に現れ、嘔吐、下痢、食欲不振、貧血、腎不全、低血糖など毒物の摂取量や種類によって症状が異なります。診断には血液検査や超音波検査などが必要となります。誤って摂取した、または摂取したかもしれないという場合にはすぐに病院に来院ください。必要に応じて催吐処置や胃洗浄、点滴などを行います。

腫瘍

人と同じく、犬や猫にもガンや肉腫、リンパ腫などの腫瘍が発生します。消化管に発生した腫瘍は最初は無症状であることが多く、腫瘍が大きくなるにつれて、嘔吐や下痢、食欲不振、体重減少を引き起こします。早期発見が最も大切になりますので、定期的な健康診断の受診をお勧めいたします。

膵炎

膵臓は消化液を産生する重要な臓器です。また、インスリンと呼ばれる血糖値をコントロールするホルモンを分泌しています。その膵臓に炎症が生じると、嘔吐、下痢などの消化器症状が現れます。また、急性膵炎の場合は一般的な消化器症状の他に元気消失や虚脱などを起こし、ときに死にいたることもあります。診断には血液検査、超音波検査が必要です。

慢性腎不全

腎臓は血液の老廃物を濾過する機能を持っています。老廃物は尿として排出されるので、健康な状態が保たれているわけです。しかし、歳を取ると腎臓の働きが悪くなり、濾過機能が十分働かず、体内に毒素が溜まった状態になることがあります。これを「尿毒症」と呼び、さまざまな慢性腎不全の症状を引き起こします。

  • 食欲減った、吐くことが増えた
  • お水やおしっこの量が増えた
  • 体重が落ちてきた
  • 便が固くて出づらい
  • 元気がなくなってきた、毛ヅヤが悪くなった

慢性腎不全の治療

腎臓は一度壊れてしまうと再生することができません。
そのため、出来るだけ早期に診断して、腎臓にかかる負担を減らし、悪化を遅らせることが大切になります。
食餌療法では、適度に制限された良質なタンパク質と電解質バランスを考慮したフードを与えます。専用の治療食がありますので、これを利用するのが一般的です。また、慢性腎不全によって、脱水症状がみられる場合は輸液療法を行うことが推奨されます。薬物療法としては活性炭やリンの吸着剤、ACE阻害剤、造血剤ホルモン注射などがあります。重度の脱水や食欲廃絶といった重い症状の場合には、入院下での点滴治療が必要となることがあります。

尿路結石

尿路とは、尿の通り道を指します。尿は腎臓でつくられ、尿管→膀胱→尿道→体外という流れで排出されます。尿路結石とは、尿の通り道に石ができてしまう病気を指し、犬や猫でよくみられる泌尿器疾患の1つです。また、どこに石ができるかによって症状が異なり、治療選択も変わります。

尿管結石

腎臓から膀胱までの尿路である尿管内に石がつまる疾患です。無症状〜食欲不振など、閉塞の程度によって様々な症状を示すことから、気づかれにくい疾患です。結石によって尿管が完全閉塞した場合、腎臓で産生された尿は行き場を失い、腎臓を圧迫し、腎臓機能の低下を引き起こします。診断には超音波検査やレントゲン検査、血液検査が必要です。治療としては結石の外科的摘出や食事療法などがあります。

膀胱結石

膀胱結石は犬や猫で最もよくみられる尿路結石症です。「トイレに何度もいっているのにおしっこが出てない」「おしっこが赤い」「少ししか出ていない」という症状に飼い主様が気付き来院されるケースが多くあります。膀胱結石は、基本的には尿検査・レントゲン検査・超音波検査で診断がつきます。
治療法は、食餌療法もありますが、大きな結石が形成されている場合は基本的には外科手術での摘出が必要となります。膀胱内に長期にわたり結石があると、炎症により膀胱の本来の貯尿機能が失われる恐れもあります。治療後は一般的には予後良好ですが、再発を繰り返すこともあり、定期的検査をしていく必要があります。

尿道結石

膀胱内で形成された結石が、尿道内に移行して閉塞を引き起こす疾患です。尿道結石によって尿道の完全閉塞が起こると、体外への尿排出が遮断されるため、緊急手術が必要になることがあります。膀胱結石と同様な症状に加えて、元気食欲の消失や吐き気の症状がみられることがあります。診断には血液検査やレントゲン検査、超音波検査などが必要です。

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