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CASE 症例紹介

中手骨、中足骨の骨折

こんにちは。今回は骨折の中でも診療することの多い中手骨・中足骨の骨折についてご紹介いたします。

中手骨・中足骨の骨折の特徴は?

中手骨・中足骨は手や足の甲を形成している骨で4~5本の骨から成り立っています。また、小型犬や猫ではそれぞれの骨の幅が3~5mmと細く、骨折が生じやすい特徴があります。骨折は主に落下事故によって発生します。

中手骨・中足骨の骨折治療は、骨折している骨の本数や部位、骨折の変位の程度、動物の年齢などによって外科手術や外固定(ギブス)が選択されます。


実際の症例1

犬種:ミニチュアダックスフンド(♂)

年齢:7歳齢

体重:5.2kg

名前:ケビンちゃん(仮名)

主訴:2週間前に落下してから左前足を跛行するようになった(紹介)

中手骨骨折

左第1中手骨に横骨折を認めました。

骨折による変位が少なく、他の中手骨に骨折を認めないため、1ヶ月の安静と外固定を実施しました。

ケビンちゃんは1週間ごとの外固定の巻き替えで通院し、治療開始から1ヶ月で骨癒合と跛行の消失を認めたため、安静を解除しました。


実際の症例2

犬種:柴犬(♀)

年齢:3ヶ月齢

体重:2.1kg

名前:小太郎ちゃん(仮名)

主訴:抱っこから落ちて左前足が地面につかない

中手骨骨折

左第2/3/4中手骨に不全骨折を認めました。

3本の中手骨が骨折しているものの、骨折による変位が少ないことや若齢であることを考慮し、3週間の外固定と安静を行いました。

中手骨

外固定から3週間のレントゲン画像です。骨折部の変位も少なく、おおよその骨癒合を確認したため外固定を抜去しました。

その後、患肢を痛がることもなく、受傷から5週間で安静を解除しました。


実際の症例3

猫種:mix(♀)

年齢:3歳齢

体重:4.1kg

名前:いずまちゃん(仮名)

主訴:2階から落下して左の足が曲がっている

猫 中手骨骨折

左第2/3/4/5中足骨の骨折を認めました。

4本全ての中足骨が骨折し、変位を生じていることから髄内ピンを用いた外科手術を実施しました。

猫 中足骨骨折

術後2ヶ月で骨癒合を確認したため、髄内ピンの抜去を行いました。髄内ピン抜去後の診察では左足をかばう様子も見られず以前のように元気に過ごしているとのことです。


実際の症例4

犬種:mix(♀)

年齢:5ヶ月齢

体重:1.9kg

名前:あいちゃん(仮名)

主訴:抱っこから落ちて右後肢を上げている

右中足骨骨折

右第2/3/4/5中足骨の骨幹部に骨折を認め、遠位の中足骨が尾側に変位していました。

4本全ての骨折が認められるため外科手術による骨折部の整復を行いました。あいちゃんは非常に小柄で中足骨の骨髄腔が狭い(0.5mm)ため、症例3で用いた髄内ピン法は使用できません。そのため、超小型プレートを用いた固定法を行いました。

中足骨骨折

右第2/3/4中足骨をチタンプレートにて固定し、第5中足骨は静置しました。術翌日から患肢を使用し、良好な経過でした。通常、プレートを抜去することはありませんが、あいちゃんは幼若であることを考慮し、術後2ヶ月でプレート抜去を行いました。その後も患肢をかばう様子も見られず元気に過ごしているとのことです。

まとめ

中手骨・中足骨の骨折は犬猫の骨折の中でも比較的多く発生し、ほとんどが落下事故によるものです。骨折している骨の本数や動物種、体格などによっても治療法は異なるため、骨折後早期に最善の治療選択をすることが重要となります。

獣医師からのメッセージ

骨折における治療の目的は、なるべく早くに安全に正常な運動が可能となるように治療することです。

当院では動物の年齢や種類、性格、骨折のタイプなど様々な要素を考慮して最善の治療を提供させていただきます。

獣医師:保田

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