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CASE 症例紹介

大腿骨の骨折

こんにちは。今回は大腿骨の骨折についてご紹介いたします。

大腿骨の骨折の特徴は?

大腿骨は太ももを支えている丈夫な骨で、股関節・膝関節を形成している重要な骨です。また、周囲を大きな筋肉(大腿四頭筋や大腿二頭筋など)に覆われていることもあり、犬猫では容易に骨折することは稀です。ほとんどの場合、強い外力(高所からの落下、交通事故)によって骨折を引き起こします。そのため、単純な骨折よりも複雑なタイプの骨折を引き起こすことが多い特徴もあります。

大腿骨の骨折は、骨折部の治癒期間やインプラントの固定の強度、膝関節・股関節の機能性保護などを考慮し、外科治療を行う必要があります。


実際の症例1

犬種:柴犬(♂)

年齢:9ヶ月齢

体重:7.2kg

名前:てんちゃん(仮名)

主訴:交通事故による右大腿骨骨折(紹介)

大腿骨骨折

大腿骨骨幹部に複数の骨片を伴う粉砕骨折を認め、骨折部の変位を認めました。

大腿骨 プレートロッド

骨折部の相対的安定性を確保するため、大腿骨外側プレートおよび髄内ピン(プレートロッド法)を使用し、整復を行いました。

てんちゃんは術後3日で患肢を着地できるようになり、術後1ヶ月のかかりつけ医での再診では跛行もなく良好な骨癒合が見られたとのことでした。


実際の症例2

猫種:日本猫(♂)

年齢:4歳齢

体重:4.5kg

名前:ごろちゃん(仮名)

主訴:2階からの落下事故

 

猫 大腿骨骨折

大腿骨骨幹遠位に複数の骨片を伴う粉砕骨折と骨折部の大きな変位を認めました。

症例1のてんちゃん同様にプレートロッド法を用いて、整復を行いました。

猫 大腿骨骨折

術後2ヶ月では仮骨を伴う良好な骨癒合(黄色矢印)を確認し、安静を解除しました。膝関節のアライメントも元通り整復されたため、術後の後遺症もなく元気に走り回っているとのことでした(^ ^)


実際の症例3

猫種:日本猫(♂)

年齢:1歳齢

体重:3.2kg

名前:ほごちゃん(仮名)

主訴:おそらく交通事故による両側大腿骨骨折(動けないところを保護されました)

大腿骨粉砕骨折

両側の大腿骨骨幹部に粉砕骨折と骨折部の変位を認めました。また、左寛骨臼の不全骨折を認めました。

大腿骨骨折

両側大腿骨の外側および前面にプレーティングを行い(オルソゴナルプレート)、左寛骨臼の不全骨折は安静のみで経過観察としました。術後1ヶ月で豊富な仮骨形成を認めたため安静を解除し、術後2ヶ月で良好な骨癒合を確認しました。その後、両側ともに術後の跛行などの後遺症を認めず、新しい飼い主さまも決まり、とても安心しました(^ ^)

まとめ

大腿骨の骨折は、強い外力(交通事故・高所からの落下)によって引き起こされるため、複雑な骨折が引き起こされやすいです。そのため、骨折のタイプに応じた骨折整復手技が必要になります。

また、術後の合併症として大腿四頭筋拘縮に注意が必要です。これは大腿四頭筋が骨折部周囲に癒着することで機能障害を引き起こし、結果として膝関節の屈曲障害が起きることです。膝関節は歩行に極めて重要な働きをしているため、膝関節の屈曲障害は歩様異常に直結してしまいます。これらを防止するために術後早期からのリハビリテーション(大腿四頭筋のストレッチ)が重要となります。

獣医師からのメッセージ

骨折における治療の目的は、なるべく早くに安全に正常な運動が可能となるように治療することです。

当院では動物の年齢や種類、性格、骨折のタイプなど様々な要素を考慮して最善の治療を提供させていただきます。

また、犬猫の術後リハビリテーションも積極的に実施しております。

獣医師:保田

 

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